インターネット社会とも言われる現在、消費者の消費活動のプロセスも変化しています。通販文化が定着し、商品やサービス購入のために実店舗に出向くことも減少し始めています。そのため、マーケティングやプロモーションの方法も、さまざまな手段がとられるようになっています。
そうした施策の効果向上に欠かせないのが、デジタルとアナログのメディアを活用するクロスメディア戦略です。その手法もありとあらゆる多くの手段があり、その中で比較的実施が手軽で効果も期待できるのが、メルマガなどのメールマーケティングと紙媒体のダイレクトメール(以下DM)を併用した施策です。
顧客に定期配信しているメルマガとDMで、具体的なアピールの連動施策でデジタルだけではリーチできないターゲット層へのアプローチ手法として導入されています。
今回は、こうしたクロスメディア戦略の特徴、メルマガとDMの連動施策について解説していきます。
マーケティング手法:クロスメディア戦略とは
クロスメディア戦略とは、デジタル、アナログそれぞれのメディアの特徴を活かして、ターゲットを誘導していくマーケティング手法のひとつです。
テレビCMやSNSの情報拡散力は優れていますが、情報を送る相手のターゲティングは難しく、拡散力はSNSには及ばずとも、メルマガやDMはターゲティングに優れているという特徴があります。
例えば、新商品のマーケティング施策として、テレビCMやSNSで情報を流すと認知度も拡散される可能性が高まります。
そこで、認知度が高まりつつあるところで、メルマガやDMでその商品や購入方法の情報を流せば、メルマガやDMを受け取った消費者はテレビCMやSNSでの情報を思い出し、より一層興味を抱くようになります。
このようにメディアからメディアへと順序だてた戦略で、情報収集から購入まで誘導していくということになります。
クロスメディア戦略の特徴(メリット)
メディアには、アナログメディアの新聞や雑誌広告、ダイレクトメール、そしてテレビCM、WebサイトやSNS、メルマガなどのデジタルメディアがあります。
これらのメディアは、過去それぞれを独立したメディアとして広告運用されていた時代がありました。
しかし、現在のデジタル社会においてはクロスメディアの意識が高まり、複数のメディアを組み合わせて相乗効果を上げる手法が使われるようになっており、マーケティング戦略のひとつとして、クロスメディア戦略は効果を上げています。
クロスメディア戦略の特徴
テレビCMで見た新商品が気になり、SNSで商品について詳しく調べ、Webで他の商品と比較していたときに購入を誘うDMが届く…そのようなことが、クロスメディア戦略には自然な流れとして組みこまれています。
各メディアの弱点をカバーできる
メディアの持つ役割には、ターゲティング確定度、拡散量、情報量、情報が伝わるスピードがあり、それぞれに得意不得意があります。複数のメディアを活用することで、それぞれのメディアの弱点をカバーすることが可能です。
成果が上がりやすい顧客を集客できる
メディアをクロスさせ、複数のメディアの利点を活かして組み立てることで、商品やサービスの購入までの流れがスムーズになります。また、購入へのニーズを持った顧客を導くことができるため、成果が上がりやすい顧客の集客につながります。
様々なターゲット層の顧客を獲得できる
一つのメディアで伝えられる内容には限りがありますが、複数のメディアを効果的に展開することで顧客を獲得していくことが可能です。テレビCMだけの情報伝達では、商品やサービスを欲しているターゲット層に確実に届くかどうかは不明です。思うような効果を期待したいときは、テレビCMと併せてWeb系のメディア(SNS、メルマガ)やDMなどのメディアを駆使して様々なターゲットを掘り起こすことができるでしょう。
メルマガとDMがクロスメディア戦略に適している理由
「メルマガ」と「DM」は、ダイレクトマーケティングの世界でも活用されていますが、この2つのメディアは顧客との関係性の維持や営業促進の手段として有効です。
そのため、クロスメディア戦略として活用していくためにもメルマガとDM、それぞれのメディアの特徴をしっかりと認識しておく必要があります。
メルマガとは
メールマガジンの略称である「メルマガ」とは、情報の一斉配信が可能なメディアで低コストなうえに手間がかからず、オンタイムで実施可能で反応の速さも期待できます。
メルマガの受け取り側の関心がある商品やサービス、キャンペーンなどの情報をEメールで送りますので、情報に対して何らかの興味・関心を持つターゲットと考えられます。そうしたターゲットへのアプローチとして、メルマガは有効な手法のひとつで、営業や宣伝を目的として行うダイレクトマーケティングの手法に使われる代表的なメディアのひとつです。
DM(ダイレクトメール)とは
ダイレクトメールの略称である「DM」とは、商品やサービス、キャンペーンの案内を、ハガキや封筒を利用して個人や法人宛に送付するダイレクトマーケティング手法のひとつです。
一般社団法人日本ダイレクトメール協会の最新(2022年発表)の「DMメディア実態調査2021(スライド 1 (jdma.or.jp)」によると、自分宛に届いたDMの開封・閲読率は79.5%、2020年の63.1%より増加しています。
高い開封率を持つDMメディアは商品やサービスの購入促し、成約に繋げることを期待できるメディアと言えるでしょう。
メルマガとDMの相乗効果が、クロスメディア戦略のポイント
メルマガとDMを活用したクロスメディア戦略は、低コストでスピーディーなメルマガで商品やサービスの情報を告知し、さらに紙媒体のDMを使って具体的な情報を伝えることで購買意欲の醸成や反響を上げる効果的な手法となっています。
つまり、コストとスピード面はメルマガの特徴を活かし、豊富な情報を伝えることにおいては開封率が高いDMの特徴を活かしていくという、それぞれのメディアの相乗効果を利用するわけです。
ピンポイントで情報を届けることができるDMは、紹介したい商品やサービスに合わせてターゲット層を選ぶことも可能ですし、DMの開封率の高さは一般社団法人日本ダイレクトメール協会の発表資料からも明白です。
このように、メルマガとDMを併せて活用するクロスメディア戦略は、テレビCMやSNSだけを活用したマーケティングと比べ、より効果的と言えることでしょう。
またDMには、顧客誘導だけでなく購買行動へ結びつける役割もあります。最近の施策では、DMから商品を購入するためのWebサイトへ誘導する仕組みをよく目にしますが、これも「クロスメディア戦略」の展開のひとつです
まとめ
デジタル社会と言われる現在、数多くのメディアが生まれています。それらメディアを利用する人々の世代や性別はさまざまですから、企業はそれぞれのメディアを上手に活用して商品やサービスのマーケティング施策に取り組むことが必要な時代となっています。
クロスメディア戦略の施策には、どのようなメディアをどのように連動していけば高い効果を得られるのか、よく考えて戦略を立てることが重要です。
そのために、ターゲットの確定と数値目標の設定を行い、PDCAを常に意識して情報を発信し続けていくことをお勧めします。